一人暮らしの高齢者の心配な点
1人暮らしの高齢者が増えている
1980年代、高齢者は家族と同居しているのが当たり前でしたが、少子化が進み、核家族が増えたことにより現在は高齢者の1人暮らしも珍しいことではなくなりました。内閣府が公表した平成29年版の高齢社会白書によると、1人で暮らしている65歳以上の高齢者は急激に増えており、2015年では男性が約192万人、女性は約400万人もいることが分かりました。この数は今後も増えていくことが予想され、2035年では東京でも高齢者の4割は1人暮らしになるといわれています。
1人暮らしは認知症の進行を速めるリスクがある
物忘れや徘徊、妄想など認知症の症状は様々ですが、中には自覚症状がないものもあります。軽度の場合は挨拶や受け答えなどが普通にできるため周りの人もなかなか気付けません。認知症の症状が進行しやすいのは家族と一緒に暮らしている高齢者よりも1人暮らしの高齢者の方です。家族と一緒に暮らしていれば、料理の味付けがいつもと違う、ちぐはぐな服を着る、などちょっとした異変を早い段階で気付くことができますが、1人暮らしの場合は気付く人がいないためこのような認知症のサインを見逃してしまい、気付かないまま症状が進行してしまいます。
健康面に対する不安
物忘れが進むことで、食生活にも影響が出る可能性があります。認知機能が低下して料理が作れなくなったり、食材が傷んでいることが分からないまま食べてしまったりするかもしれないからです。栄養に気を配ることもできなくなるため、不健康な生活に陥ってしまいかねません。
また、認知症の進行は食生活だけでなく健康面にも影響を与えます。薬の飲み忘れや過剰摂取で意識障害を引き起こしてしまったり、暑さや寒さに鈍感になって脱水や熱中症になったりする可能性があります。
事故が起こる可能性もある
認知機能が低下すると注意力や判断力も低下しがちです。家事もこれまでと同じようにはできません。キッチンの火を消し忘れたり、暖房器具をつけっぱなしにしたりなど、火の不始末が原因で事故が起こる可能性があります。火の不始末は生命の危機につながってしまうため注意が必要です。
金銭管理がずさんになる
認知症が進行するとお金のトラブルが増えてきます。ガスや水道などの支払いができなくてライフラインが断たれてしまったり、高額な商品を買うなどの詐欺に遭いやすくなったりします。
ご近所トラブルになるケースも
物事の善悪がつかず社会的に不適切な行動をとったり、暴力をふるったり、ゴミが出せなくて家にためてしまったりなど認知症が原因でご近所トラブルとなってしまうケースが増えています。
高齢者の1人暮らしには地域のサポートが欠かせません。ご近所トラブルは大きな障害となってしまうでしょう。
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